週末ひとりけんきゅうしつ

つれづれなるままにひぐらし音楽と社会をながめる人のひとりごと。(もはや週末関係ない)

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ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(5)-2

5.作品の「かたち」:「音楽」のかたちの未来(後編) ROTH BART BARONは、楽曲や音源のかたちをイチから捉え直そうと模索しながら、ここ数年のうちに一気に加速した音楽の聴き方の地殻変動が生み出した新しい視聴習慣にむけて誰よりも積極的にアウトプットを…

ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(5)-1

5.作品の「かたち」:「音楽」のかたちの未来(前編) ライブにライブグッズはつきものだ。 ライブが多くの人のレジャーとしてこれまで以上に市民権を得ている今、売る側にとってはグッズはまさに打ち出の小槌と言っても良いのかもしれない。 けれど、果たし…

ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(4)

4.プロモーション:新しさと戯れるオープンな好奇心 ROTH BART BARONは、そのフォーキーなスタイルゆえに極めて牧歌的でトラッドなバンドであるかのように見えるが、その実、はっきり言って、国内のどんなアーティストよりも「新しモノ好き」なバンドである…

ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(3)

3.ステージ:日常の延長の祝祭 彼らのライブを観たことがある人は気づくだろう、彼らのステージでは、原色の照明があまり使われないことに。 代わりに、彼らは白熱球のような光のオーナメントを持ち込んで、ステージを、時には客席までもをクリスマスの家々…

ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(2)

2.歌詞:誰でもあり、誰でもない。「われわれ」による「われわれ」のための音楽 ROTH BART BARONの歌詞は、寓話的と言われることが多い。 だが実際には、よく見てみると日常のささいな一瞬をつまびらかに描く部分も、結構多いのだ。 特にアルバム『ROTH BART…

ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(1)

1.音楽性:音楽の未来を切り拓く、ルーツと実験精神の調和 ROTH BART BARONはフォークロックバンドである。 出典:ROTHBARTBARON.COM より 彼らをたとえるとき、多くの場合は、WilcoやFleet Foxes、また、Bon IverやGrizzly Bearといった、アメリカのフォー…

ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし

ROTH BART BARONは、東京出身、2人組フォークロックバンド。 出典:ROTH BART BARON (ロットバルトバロン) | felicity (フェリシティ) 彼らは、東京出身といえども、スタイリッシュにキメてるわけでもなければ、小洒落てイケてる風を装うわけでもない。 彼…

My Best Album 30 in 2016、やってみました。

個人的な今年1年を振り返りつつ、初めて今年は、あくまで主観ですが、年間ベストアルバムの選盤にチャレンジしてみようと思います。 「ベスト決められるほど新譜を聴いてないよ・・・」 と、去年まではやりたくてもなかなかできなかった年間ベストですが、 …

田渕ひさ子という「シンガーソングライター」(toddle/Vacantlyのちょっとしたレビュー)

先週末になりますが、toddleのインストアライブを見てまいりました@タワー新宿。 アコースティックセットでのtoddleとしてのライブは5年ぶり(つまり前作リリース時の同じインストアライブ)とのこと。 あのいわゆる「田渕ひさ子的」なキレキレの轟音ギター…

フジロックは単なるフェスではなくフジロックという”仕組み”だった、という話

遅ればせながら、フジロックに数年ぶりに行ってまいりました、というお話です。 ▲ブレブレなこの一枚しかなかった これは、今年は比較的観たいアーティストが多いから、という至極単純な動機によるもの。もちろん特段観たいアーティストがいなければ行かない…

5/20 D.A.N.ワンマン"Cirtain"@WWW を観てきました。

2週間も前じゃねえか!というツッコミも聞こえそうですが、 アップするのをすっかり忘れて下書きに入ったままでした。 というわけで、 5/20 D.A.N.ワンマンライブ"Cirtain"@WWW 観てきました。 D.A.N.は"EP"を聴いたときから一発で、 「120%くる!」と確信し…

最近聴いた新譜:agraphとThe fin. (´-`).。oO(電子音のテクスチャーってやつは奥が深いですね。)

音楽の聴き方とビジネスの仕組みについて書くのもちょっと疲れてきたので、 これまでほぼやったことないんですが、 練習と備忘録がてら、レビューもどきのようなものをぶち込んどこうと思います。 やってみると、音楽性の評価のための視座や知識であったり、…

モダンタイムスの歯車が加速している、エンタメ業界

わたくし先日、ザ・ロキノン大好き系現役大学生と出会う機会がありまして、話をしたところ「最近のバンドの移り変わりが早くて追いつけない」とのことらしい…。 大学生でソレですか。。 さて今回は 歌番組の出演者がいつ見ても同じ顔ぶれなのも、一発当てた…

音楽の魔法の“かけられ方”に口を出したくなるリスナー事情 ≪雑記≫

・・・さすがにこうも放置するのはどうかと思ったので、つなぎですけど、とりとめもないことを書こうかと思います。オチは無いです。 私はGalileo Galileiは全然聴いてこなかったんですけど、今度のアルバムは、仕事をしながらふと耳にして(ラストアルバム…

アナログレコード人気再興の再考

アナログレコード人気の「なぜ“今”?」をレコードに与えられた新しい意味と目的という視点から掘り下げてみました。

有料音楽配信と、ITの進化に興味のない"デジタルネイティブ"

何故有料音楽配信は(ダウンロード購入も、サブスクリプション型も)さほど普及しないのか?そもそも"デジタルネイティブ"な若者って、実はデジタルサービスのこと、全然よくわかってないんじゃないだろうか?という話

cero/Obscure Rideを“シティ”と“ポップ”に分解する(2)“シティ”=わたし達の街の不確かさ、わたし達の見ている「今」

ありふれた日常と普遍の周りを回遊しながら、時折のぞかせる不穏さ。 それは、震災以降改めて気付かされた我々の街の不確かさ。 都市という存在そのもののフィクションや空虚、それゆえに内包する不気味さ、それを眺める自分がいま居るここが夢か現実か定か…

cero/Obscure Rideを“シティ”と“ポップ”に分解する―(1)“ポップ”=対抗文化性

初めに…このエントリーの内容はもうとっくに考えてはいたのですが、私がぐずぐず文字に起こしかねている間に、ほぼ同じ論旨の記事を金子厚武さんが書かれました!笑 良く考えれば私がこの記事を練るのにおおいにヒントになった記事の1つが金子厚武さんによる…

cero/Obscure Ride を“シティ”と“ポップ”に分解する [続・ニッポンの内と外] ― (0)小沢健二/Eclecticの「イビツさ」についての一考察

ceroの3rdアルバム”Obscure Ride”が約1ヶ月ほど前にリリースされ、各所で絶賛を浴びているのは周知のとおり。 Obscure Ride 【初回限定盤】 アーティスト: cero 出版社/メーカー: カクバリズム 発売日: 2015/05/27 メディア: CD この商品を含むブログ (4件) …

補論: “J”という記号、ニッポンの内と外

次はceroの話をすると言っていたのですが、 一旦、短い違う話を書くことにしました。 でもこれは次の話をするのに、しっかりつながってくる話なのです! 新しい“シティポップ”と渋谷系について書いていくつもりなのですが ここでその下準備を挟もうかと思い…

「ネオ・シティポップ」という新しいカウンターカルチャーの在り方の可能性 ―(4)戦略性は「悪」なのか

前回から間が空いてしまいましたが、 ACCが活動をしていくにあたってのその戦略性にフォーカスが当てられていることに嫌悪感を抱く人がいるのはなぜなのか、という前ふりを1回目でしてしまっていたので最後にその点について考えていきます。 ---------------…

「ネオ・シティポップ」という新しいカウンターカルチャーの在り方の可能性 ―(3)ネオ・シティポップのカウンターカルチャー的側面

第3回目です。 第3回目、第4回目は、これまでに比べると、私の個人的な偏見、感覚をもとに書いている側面が強くなっているかと思います。 特に前の記事から使い始めている「ロキノン系」という言葉、これの指すものについては極めて曖昧で語りづらく、ゆえに…

「ネオ・シティポップ」という新しいカウンターカルチャーの在り方の可能性 ― (2) Awesome City Club、ポップネスのなかの冷めたアンチテーゼ

前回の続きです。 ACCのインタビューなどを紐解いていくうちに、「メッセージがない」というスタイルこそが実はある種のメッセージでもあるのでは、という逆説的な考えに至ったのですが、 そういった意識がバンド内で醸成されていった過程の中には彼らのもと…

「ネオ・シティポップ」というカウンターカルチャーの在り方の可能性 ―(1) 具体例:Awesome City Club の注目されるポイント

ほぼほぼ初めてのエントリーにしては気合を入れすぎてしまい、超長くなりました。 今後は簡潔に書きたい!と思いつつ、今回は連載形式にいたします。 私はかなり日本のバンドモノの音楽に偏っている節が多分にありまして、今後もそういった話題が多いのでは…

「音楽について語るのは、建築について踊るのと同じだ」としても

「音楽について語るのは、建築について踊るのと同じだ」 という言葉もあるように、そもそも音楽を語ることはばかばかしいことなのではないか。 しかしながらやはり、それでもなお、音楽について議論すること、あるいはもっと純粋によいものを見た・聴いたと…