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週末ひとりけんきゅうしつ

つれづれなるままにひぐらし音楽と社会をながめる人のひとりごと。

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「ネオ・シティポップ」というカウンターカルチャーの在り方の可能性 ―(1) 具体例:Awesome City Club の注目されるポイント

Awesome City Club カウンターカルチャー ネオシティポップ シティポップ

ほぼほぼ初めてのエントリーにしては気合を入れすぎてしまい、超長くなりました。

今後は簡潔に書きたい!と思いつつ、今回は連載形式にいたします。

 

私はかなり日本のバンドモノの音楽に偏っている節が多分にありまして、今後もそういった話題が多いのではないかと思いますが、

今回もまさにそういった話題です。

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最近ちまたで話題の日本のバンド(?)Awesome City Club(以下ACC)。

4月にメジャーデビューということだが、彼らを取り巻く言説もまた興味深いことになっているように思う。

すなわち、バンド活動をしていくにあたってのその「戦略性」にフォーカスが当てられがちであるということ、そしてそういったフォーカスの当てられ方に嫌悪感を抱いている人々もまた少なからずいるということである。

 

今回は、タイミング的には1ヶ月遅れとなってしまったけれど

彼らのWEB上で公開されているインタビュー、及び解説記事をいくつか眺めながら、前述のようなざわつきの根源を探してみようと思う。

 

ちなみに、今回のテーマのタイトルはこちらの方のつぶやきに共鳴するような形で付けさせていただきました。勝手に申し訳ありません。ありがとうございます。。

 

また私個人は、ACCの楽曲はお気に入りで、活動スタイルにも肯定的なので、どうしてもそういった主観が入ることはまず断っておきます。

 

私が今回目を通した記事は、文末に。

※ちなみに、紙媒体(雑誌など)での記事ももちろんあるでしょうが、リリースタイミングでのインタビュー記事というのはえてして内容がほぼ被っていることも多いので、今回はとりあえず割愛しています。

 

そして、今回はこれらのインタビュー&解説記事から、あえて2点のみを抽出して検討していきます。

 

①音楽性

②活動スタイル

※2点はクロスする部分も少なからずあると思いますが、便宜上分けてみました。

 

①音楽性

メンバーいわく「ちょっと80'sっぽい感じとブラックミュージックが混ざっていて、で、現代風のダンスミュージックに昇華されていて、かつ歌モノ」*1をやりたいというのがバンドを始める際のイメージであったという。

 


Awesome City Club - Lesson (Lyric Video) - YouTube

 ※私が個人的にいたく気に入っている、"Lesson”。

 

ねっとりと粘っこいグルーヴィーに練り込まれたリズムの上に、彼らの言及するチルウェイブにも、あるいは80年代のエレポップなどにも影響されたサウンド、そして(またこれも言及されているが)現代のUSインディのような洗練されたメロディ。

そして、(歌声そのものはよりあっさりとしているものの)やはりソウルを彷彿とさせる男女のコーラスワークなど、そしてそれらが喧嘩せずに調和し、心地よくまとまっているあたりから察するに、彼らの当初の目論見はかなりの部分で成功しているように思う。

 

これだけ見るとやたら玄人好みな音楽にも思えるが、一方で彼らは「洋楽的な符割に日本語を当てるというのも最初から決めていたことだし、王道のポップミュージックに対する嫌悪感はまったくない」*2と言い切るように、大衆的であることを意識した曲作りをしていることがうかがえる。

 

※これは、②とも関係してくる部分ではあるが、ここ数年「ガラパゴス化する日本のポピュラー音楽シーン」という話題が取り沙汰されるように、現在進行形の「洋楽」*3から切り離されたアーティストが増えているとされている。よって、少なくとも昨今のポップミュージック言説の中では、同時代の洋楽の動きを取り入れている若手のほうが珍しく、そういったアーティストは「玄人」好みでニッチ、と見られるきらいがあるように思う。

 

海の向こうのインディロック、あるいはソウル~R&Bをルーツとしたディスコテーク風のポップミュージックの盛り上がりと共振しながらも、あくまでマニアックな方向には向かわず、心地よさや大衆性、普遍性をもたせていくことに貪欲であるとうかがえる。

 

※もう少したんなる感想を書きたいところでもあるが、本筋と離れてしまうのでまた機を改めて。

 

②活動スタイル

彼らについては今回のメジャーデビューのタイミングにあわせ、改めてそのような戦略的な側面について語られる場面が増えている。

明確に言及されているものの1つが、こちらのナタリーの特集記事である。

natalie.mu

 

他の記事でインタビューされている宇野維正氏も含めた3者にてACCも含めた2015年春にメジャーデビューをしたアーティストと、日本の音楽シーンを絡めた分析・鼎談記事で、(主に宇野氏が)ACCの戦略的な側面を絶賛している。

彼ら男3、女2なんだけど、“主宰”のマツザカタクミくんと主に曲を書いてるatagiくんっていう男の子2人が中心になってバンドの基礎を作って。その時点で、あと男1人と女2人を入れて5人組にしようって、まずメンバー構成から決めたらしいんですよ。(略)そのくらい戦略的なんだけど、そういうバンドのあり方がすごく今のシーンを象徴してるかなと思いました。

物事を考える人、歌う人、曲作る人ってバンドの中で役割分担して、いろんな要素を持ってる 

*4

ここで言及されているのは、要するに、多くの人に見てもらうため、聴いてもらうための方法論に彼らが非常に自覚的で確信犯的な点だ。

しかしそういった点に「音楽ライター」達が色めきたっていることに対して批判的な反応も少なからずある。

 

 

 

Gotch氏については明言はしていないが、タイミング的に考えても、

また実際には、ACC本人たちと相思相愛という事実も鑑みると、

おそらく前述の記事などでのACCの取り上げられ方に不満をもち、多かれ少なかれ意識している発言なのではないだろうか、と勝手に勘ぐっている。

 

さて、当然、彼らはアーティストだからこそ、戦略性だけでなく音楽性にも寄り添って評価すべきだというこうした考え方にはおおむね同意するが、

一方で、私はこうした戦略性こそが、ある種彼らの活動の「メッセージ」ともなっているのではないかと感じている。(これが今回の記事のキモであり主張の核でもある。)

 

なんといっても私が注目しているキモは、(逆説的だが)彼らは楽曲作りにおいてメッセージ性をあえて極力排することを核としている、という部分だ。
それは私がこのバンドを深く掘ってみたいと思った一因の1つでもある。

 

実は私は初めはこの「メッセージがない」というポイントに非常に違和感を覚えたことを記憶している。
“Lesson”のようにドープで没入感の強い曲もあったかと思えば、
「4月のマーチ」のような「女の子らしさ」をそのままパッケージングしたような歌詞に、甘くキャッチーな歌メロとリフの印象が強く残る曲が唐突に現れたりと、
たしかにどちらも素晴らしく完成度の高い曲なのだが、

同じバンドが作った曲のように感じられない、バンドの「顔」がつかめない、という点が私の中でちょっとした混乱をきたし、

「この人たちは一体どういう人なんだ、何がしたいんだ」といった具合に、飲み込み切れなかったのだった。

しかしインタビューなどを紐解いていくうちに、この「メッセージがない」「つかみどころがない」というスタイルこそがある種のメッセージでもあるのでは、という逆説的な考えに至ったわけである。

 

 バンドを組むときに合言葉のように言っていたのは、とにかく暑苦しいのは嫌だねってこと。刹那的なものに対して、「カロリー重いよ」という思いは全員共通でありました*5

 歌詞や演奏で主張をし過ぎるようなバンドやアーティストがすごく多くて。それがトゥー・マッチに思えたんですね。*6

 歌詞に関しても、できるだけメッセージ性をなくして「音楽の力だけでアガろうよ」っていうものにしたかった。*7

 

など、かなり多くのインタビューで言及されている。


そしてなぜ、そういった意識がバンド内で醸成されていったのか、という点を紐解いていくと、
そこには彼らのもともといた彼らの言及する「下北沢のバンドシーン」とはオルタナティブな「バンド」というものへの在り方の提示という意味が浮かび上がってきた。

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ということで第1回はここまでにします。

続きは近々…。ちなみに全4回予定です。長すぎ!!笑

次回は「Awesome City Clubの冷めたアンチテーゼ」という観点を掘り下げようと思っています。

 

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 [参考にした記事一覧]※全4回予定の記事を通して

【インタビュー】
1
シティポップの新星 Awesome City Club 「36.5℃」の情熱に迫る
http://ro69.jp/feat/awesomecityclub_201504/page:1

2
大注目株Awesome City Clubが語る、新しい時代のバンド論
http://www.cinra.net/interview/201504-awesomecityclub

3
interview with Awesome City Club
“オーサム・シティ”のハイブリッド・ソウル
──Awesome City Club、インタヴュー
http://www.ele-king.net/interviews/004410/

4
Awesome City Club「オシャレで何が悪い」、メンバーが語るバンド誕生から “シティポップ”論まで
http://top.tsite.jp/news/i/23094689/

5
【インタビュー】Awesome City Club、“また変な曲出したな”と言われるようになったらうれしい『Awesome City Tracks』
http://www.barks.jp/news/?id=1000114517#utm_source=tw_BARKS_NEWS%26utm_medium=social%26utm_campaign=tw_auto

6
Awesome City Clubが明かす、バンドの成り立ちと活動ビジョン「ドカンと売れたら一番おもしろい」
http://realsound.jp/2015/04/post-2940.html

7
Awesome City Club SPECIAL INTERVIEW
http://accgov.net/talk/talk_1.html


【解説】
8
Awesome City Clubがデビュー作で提示する、“今の日本にしか生まれ得ない”音楽とは?
http://realsound.jp/2015/04/post-2953.html

9
Awesome City Clubインタビュー番外編 信じる音楽を広く届けるには
http://regista13.blog.fc2.com/blog-entry-166.html

10
2015年春のメジャーデビューアーティスト特集
http://natalie.mu/music/pp/majordebut_2015

【ライブレポ】
11
Awesome City Club、自主企画イベントで吉田ヨウヘイgroupらと共演 第二弾の開催も決定
http://realsound.jp/2015/04/post-2916.html

12
Awesome City Club、吉田ヨウヘイgroup&髭と祝った自主企画vol.1
http://natalie.mu/music/news/143124

 

 

 

 

*1:シティポップの新星 Awesome City Club 「36.5℃」の情熱に迫るhttp://ro69.jp/feat/awesomecityclub_201504/page:1

*2:Awesome City Club「オシャレで何が悪い」、メンバーが語るバンド誕生から “シティポップ”論まで
http://top.tsite.jp/news/i/23094689/

*3: 洋楽にあえて「」をつけているのは、洋楽という言葉がそもそも曖昧かつ恣意的な概念ではないかという主張からである。洋楽、という際には多くの日本人はアメリカ・イギリス(ヨーロッパ)のポップミュージックをイメージするのだろうが、実際その中でも様々なジャンルがあるだろうしあるいは上記の地域発ではない音楽も漠然と含意されてしまっている。本来は日本の音楽ではない音楽という意味しかないが各人がおのおのなんとなくイメージするものを託して「洋楽」と用いられるわけだが、そのようにブラックボックス的に使われることこそ、「洋楽」とい言葉の魅惑的な求心力の源泉になっているようにも思う。(ここをはっきりさせておかないといけないと思う。)

*4:2015年春のメジャーデビューアーティスト特集http://natalie.mu/music/pp/majordebut_2015

*5:大注目株Awesome City Clubが語る、新しい時代のバンド論http://www.cinra.net/interview/201504-awesomecityclub

*6:interview with Awesome City Club“オーサム・シティ”のハイブリッド・ソウル──Awesome City Club、インタヴューhttp://www.ele-king.net/interviews/004410/

*7:Awesome City Clubが明かす、バンドの成り立ちと活動ビジョン「ドカンと売れたら一番おもしろい」http://realsound.jp/2015/04/post-2940.html