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週末ひとりけんきゅうしつ

つれづれなるままにひぐらし音楽と社会をながめる人のひとりごと。(もはや週末関係ない)

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ROTH BART BARONは音楽の未来を“取り戻す”ー小さな巨人たちへの5つのまなざし(1)

1.音楽性:音楽の未来を切り拓く、ルーツと実験精神の調和

 

ROTH BART BARONはフォークロックバンドである。

 

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出典:ROTHBARTBARON.COM より

 

彼らをたとえるとき、多くの場合は、WilcoやFleet Foxes、また、Bon IverやGrizzly Bearといった、アメリカのフォークロック系のアーティストの名前が挙がることが多いが、それは単にフォークロックだから、という理由以上の意味合い、すなわち、トラッドな音楽への愛だけでなく、それとは相対するような実験精神との調和を目指している、その姿勢における共通性も大きいだろう。

 

ROTH BART BARONは、2人組でありながらサポートミュージシャンを交え、アコースティックギターを主軸に多種多様な楽器を使うのが大きな特徴だ。おもちゃのように楽器と戯れ、そうした身体的な試行錯誤で創り出した音を、生演奏にこだわって、録音をし、ライブをする。だからこそ、彼らの楽曲は、静と動のうねりが本当に自然に描き出されている。その躍動感やダイナミックさが彼らの大きな魅力だ。

 

彼らの楽曲と楽器の関係についてさらに掘り下げてみよう。

 

そもそも、フロントマンの三船の音色に対する執着は尋常なものではなく、ライブでも見かける「ハルモニウム」をはじめ世界中の珍しい楽器を取り寄せては蒐集し、実際に楽曲制作に取り入れている。彼にとって、ゼロから音色を作り組み合わせていくことが、すなわち楽曲を仕立てていくということなのかもしれない、とも思わされるほど。

 

また、アコースティックなイメージの強いバンドではありながら、シンセサイザーの電子音もふんだんに用いているのも彼らの面白いところだ。最近でも、KORG社のバックアップで、“KORG SESSION”と称したシンセサイザーでのライブセッションを行っていたのは、彼らの中でも特筆すべき活動のひとつ。

 


"Glassshower" KORG SESSION

 


KORG SESSION -FILM-

 

普段の彼らのライブや楽曲はシンセサイザーに特化しているわけではないけれど、このイベントからうかがえるのは、彼らにとってシンセサイザーという楽器もまた、アイデンティティのひとつだということだ。シンセサイザー(特にアナログの)は本来的に、信号を組み合わせて音色を創り出すがための楽器なわけだが、フロントマン・三船の音楽活動の出発点が、ヘッドホンをマイク代わりに録ってみる、テープを逆再生してみる、といった、手を動かしながら試行錯誤しておかしなサウンドを作っては宅録していたというところからだったことを鑑みても、ROTH BART BARONのサウンドの根底には、まさにDIYで音色を生み出す実験的な姿勢が流れていると言えそうだ。

 

あえて変わった機材の使い方をして、ハプニングを楽しむことや、それによって新たな音を発見しようとすること。

そして、ルーツミュージックにそれらを組み合わせ、新たな音楽を創り出そうとすること。

 

そうした実験性は斬新なものに見えこそすれその実、壊れたギターアンプからたまたま歪んだ音が出たことでロックミュージックが始まったように、新たな音楽が生まれる糸口にもなり得る。私たちはそのことを忘れてはいないだろうか。

つまり、彼らは新しい音楽を、とてもプリミティブであり真摯な方法で、手に入れようとしているのだ。